元はですね、4万打リクで「高銀」を描かせて頂きました。そしてリクして下さった祐真さんがこの高銀にSSを
付けて下さると仰られた・・!!やった あ ! ! !
自慢げに自慢します。祐真さんの素晴らしい世界観に酔って下さいハアハア
祐真さん、本当に有り難う御座いました!!

LIVE FOREVER


「殺菌したみたいに健康的。」
のっけから口にして、坂田は襖を閉めた。
「高杉クン、何かあったの?」
からかうように笑う目元。
……高杉の気分は最悪だった。
(その眼が、許せねェ。)
かろやかなそれを、ぶち壊したくなる。
衝動を酒で抑えようと、高杉は猪口をつまんで、自酌する。
くいっとあおっていると、対面する位置に坂田が座した。
自然見詰める形になって、(するコトことがねェからな。)とイイワケがましく思う。
坂田がまるで誰も居ないような振りでゆっくり、ちびりちびり呑むのにイライラする。
味わうつもりはない。
けれど、口内を薫る風味が涼ませる。
高杉は痛みを感じていた。
骨まで滲み通る夜明けの雨のせいで。
(銀時の幸福な明日なんか見たくねェ。)
高杉は地滑りするように酒に逃げた。
(本当は何も知りたくねェんだ。)、と。
透明な液体は注げばとろりと盃を舐めた。

過去は遠く、名残は撥ねた泥の痕、濡れた裾。
清浄な空気にあてられて、気まぐれに坂田は高杉に触れた。
不意の襲撃にさえ避ける素振りも見せず、なすがままにさせていた。
それは興味がないからではなく、許す相手だからだ。
無論、本人に意識はなく、余計に面倒。
包帯をするする落とす。
傷付いた器官は蝕まれ、まるで不具合の集大成のようにあるので。
かえって愛しくなる、不釣り合いな気配。
坂田は高杉の眼窩に触れた。
それは慈しむ動作。
坂田の緩慢に為れるがまま、高杉はおとなしくしていた。
何か言いたげに、残る傷痕を丁寧になぞる指先は愛撫だ。
程なくそれは労りの視線に変わった。
坂田の瞳が、高杉には気に喰わなかった。
何の前触れも無く押し倒す。
(崩される。)と、坂田は感じたが避けようとはしなかった。
見据えられる事が苦しくて、高杉は反らして坂田の頸根に噛みついた。
(喰いちぎれ!)
そんな叫びに支配される。
坂田は痛覚なんか感じさせないような余裕で、
「そんな事してたらオンナノコ逃げちゃうよ、高杉。」
飽く迄、やさしい口調。
「てめーに言われたくねェ。」
「アー? 天パーでなきゃ今頃、銀さんモテモテよ!」
やけにムキに成る坂田に、高杉はくすくす笑う。
それは不思議と幼い顔付きだ。
(あ、かわいいかも。)
なんて坂田は感じるまま溢し掛けて、思考の危険に気付く。
発作を止められずに、くつくつと笑い続ける幼い顔付きは不断の高杉に似つかない。
坂田は見慣れた者の違う一面に釘付け。
(あららーどうしちゃったのかしら。)って我知らず天を仰ぐけれどコタエは降ってこなくて、苦笑い。
そんな坂田を知ってか知らずか、機嫌良くなった高杉は横行に紫烟を吸い込む。
そして、吐く。
数度繰り返した後、思い立って高杉は坂田に吹き付けた。
「けむたいよ高杉。ヤメロ。」
坂田の苦情を聞いた高杉は、にやりと笑った。
煙を更にふかすと、先より露骨に吹き掛けた。
「やめろって。」
坂田は耐えかねて顔の前で手を振った。
けれど高杉は執拗に追う。
獲物を追い詰める、たまらない快楽に脳はキている。
逃げる、坂田。
高杉は降伏を要求するように手首をしっかと掴んだ。
片手にキセル、
「逃がさねェよ。」
高杉はめくれた口端で笑って。
(生きてるのは死にたくねェだけ。俺とおめーは似過ぎてンだよ。)
共食いの感覚で舐めあげたのは首筋。
舌を絡ませたのは、耳朶。
坂田の手首をキツく握り締め、高杉は歪んだ笑顔を深く刻み所有物宣言。
流されて坂田は(高杉は俺に似過ぎているのかも知れないね。ただ呼吸、したいだけって。)つらりと頭に浮かばせた。
高杉は袷を開(はだ)けさせ。
(多分……飛びてぇだけ。)
鎖骨に唇を落とせば。
坂田の背筋に感覚。
足を曲げさせ踵を撫であげ、踝まで手を伸ばした。
目の前で微かに揺らぐ脚。
指の間を、付け根から舐める。
そして徐々に口は移動して。
銀時のツケネに高杉は顔を埋めた。
卑猥な視覚。
股の間から自分を見上げる瞳。
交差する。
共食いの官能。
粘液質の音に。
獣が二匹、ワラった。

暫くして銀時は高杉の露になっている眼球を舐めた。
傷痕を丹念に味わう。
途端、弾ける感覚。
セピアの記憶。
ブルーフィルムの現在進行形。
リフレインする苦笑いをゴマカシテ、坂田は高杉の唇を奪った。
開けさせた口の中。
つるつるした歯列をなぞるのが気持良くて。
(噛んでしまえ。)
反射で、
(甘噛みより痛く。)
行為を犯し。
(痕を残して笑え。)
坂田は伝う唾液を見捨て、印象に過激なホホエミを湛えた。
存分に蹂躪された高杉は、嚥下しながら。
(たまらねェな。)
実際の所、魅入られているのはどっちなのかと、ただ坂田を見詰める。
雰囲気は伝染して。
病魔に冒されるみたいに。
「銀時よォ。」
返事を求めずに呟いて。
高杉は気まぐれに首元を吸った。
(――本当は俺も高杉も、吸うのは嫌いだろう?)
坂田はそう考えて、
(もどかしい。)
くすぐったさも感じながら、高杉に振り回されているのを自覚。
高杉は、
(舌がジンジンしやがる。)
と、苛つく。
しかし、激しくせずにはいられない気持を持て余していた。
それは、ある感情に似ている。
坂田は、観念して、ひとこと。
「せつない。」
高杉は、もぞっと顔を上げた。
「何だってェ?」
目線が繋る。
「いや……。」
坂田は開けかけた口を、閉じた。
「……忘れろ。」
うつむいた銀時に、高杉は顔を顰め、面白くないとでも訴えるように唸った。
気に喰わなかった。
鬱血が赤く染まる。
総ての触れた場所から、舌に蘇るのはビターチョコレイトの過去。
禁断症状の如く絶え間ないのは脳の浮遊感。
酔うのと同じく、くらくらする。
坂田には高杉の引き起こすものがパフェより甘い事も、神経すら狂わされる事も、知っていた。
壊れかねない位ハイになる気分を抑えようと、手先には自然、強い力がこもる。
(多分俺たちは死にたくないからこうして生き続けてるだけ。)
無意識に坂田は高杉を掴んでいた。
(本当はどこかへ飛び去りたいだけ。)
まわした腕は蔦のように。
(何もかもが信じられないだけ。)
捕えられ突き動かされるのは衝動。
(俺達には、連中に見えないものが、見えるんだ。)
伝う涙。
やけに温かい舌。
高杉のそれに過敏に反応して坂田はゾクりとする。
低温動物のように想われる高杉だか、違う。
体は温かいのだ。
高杉の刺激は坂田の伝導系。
背が粟立つ感じ。
いっそ不快に近い快感。
舐める舌。
耳の裏に這う、疼き。
(今は泣いてる時じゃない。)
坂田が決意した時、不意に、
「銀時よォ。」
高杉が声を降らした。
思考中の坂田は、
(多分、実現はしない。俺がこれまで抱えてきた、どんな夢も。)
けれど、瞬間的に、
「晋助。」
答えながら(今こそ強くならねーと。)決意する。
そこへ高杉は意地悪く笑って、
「相変わらず、甘いナァ?」なんて言うものだから、しがらみが絡む。
自由を忘れるような忌まわしい呪縛に似た厄介。
(ああ。)と、坂田は苦笑いした。

ふたりは座り込んでいる。
高杉は戯れにキスしようとする。
しかし、坂田に悟られ逃げられ。
拗ねて不機嫌になる高杉。
坂田は、いじけて違う方向を向いた高杉を追った。
顔を抱き合わせ。
坂田は高杉の唇にキスを落とした。
予期せぬ出来事に驚き、固まる高杉。
余裕の坂田は見下ろしてニヤリ、
「いいよ。喰わせてやる。」
と、一言。
高杉は珍しく蕩けるような表情を零し、応えた。
「お人好しだな、相変わらずよォ。」
ふたりが笑った。
甘い予感が空気に混ざっていた。
(俺達だけは永遠に生き続けられる。)
確信して坂田は開けた障子の向こう、澄んだ空を見上げた。
(生き続けるんだ、永遠に。)







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